引き出しは作った。どうやって収める?
前回までに、基本構造、箱ものの組み立てで引き出しについて紹介しましたが、引き出しを収める収納本体側については紹介していませんでした。
引き出しだけ作っても、引き出しを収める本体(キャビネット)が出来ないと、収納家具ではありませんよね。
引き出しがスムーズに収納できるかは、引き出し自体の加工精度もですが、キャビネット側の精度も必要となってきます。
今回は、引き出しを収める方法について。
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棚板の上に引き出しをのせる
スキルレベル1【・・・・☆】
一番簡単な方法は棚板の上に引き出しをのせる方法。カラーボックスに箱を入れる感じですね。
収納本体に収まるサイズ(開口部の1~2mm小さいサイズで作らないと出し入れできません)で作成して、棚板自体が表に見える形になります。棚板にはロウなどを塗って滑りを良くしておくと動きがスムーズになります。
構造も単純なので、作りやすいのですが、棚の上にのせているだけなので、上の図のような構造(前面だけ高くする)にすると手前に荷重が掛かると傾いてしまいます。これを回避するには側板も先板も開口高さと同じにする必要があります。また、引き出しすぎると収納から外れて落ちてしまいます。
軽めのモノを収納する際に利用出来ます。
受け桟(うけさん)の上に引き出しをのせる
スキルレベル2【・・・☆☆】
棚板の代わりに受け桟(うけさん・うけざん)という角材を側板に取り付ける方法があります。通常は前面から受け桟が見えないように設計します。
受け桟の部分のみ接触するので、スムーズな出し入れが可能です。引き出したときに倒れ込まないように煽り止めの役割もあります。最上段には煽り止めだけの桟を取り付けます。
棚板より安く仕上がり、見た目もスッキリとしますが、桟を精度よく取り付ける必要があります。
角材の代わりにLアングルを使用することも出来ます。この場合、化粧板か前板を引き出しの幅よりアングルの幅分、幅を大きくしないと前から見えてしまいます。
市販のスライドレールを利用する
スキルレベル3【・・☆☆☆】
引き出し用のスライドレールが販売されているので、それを利用するのも一般的です。引き出し専用なので、動きもスムーズで食器などの重たいモノを収納する際にも利用出来ます。注意点は、スライドレールの説明書をよく読んで、設計に反映させること。最初の検討段階から使用するレールの目処をつけておく必要があります。いろいろな種類が市販されていますので、用途に合ったレールを選択する必要があります。
スライドレール選択のポイント
ポイント | 説明 |
---|---|
耐荷重 | スライドレールには耐荷重が必ず記載されています。記載された耐荷重は必ず守りましょう。 引き出しがスムーズに動かなくなるとか、最悪、破損することもあります。 |
引き出し長さ | キャビネット(収納側)に収まる引き出しの長さ |
スライド量 | スライドレールは大抵、スライド量(レール上を引き出しが動く距離)が決まっています。 |
引き残し | 例えば、300mmのレールで、250mmのスライド量の場合、50mmが引き残しとなります。 つまり、キャビネット内に引き出しが50mm残ってしまう(250mmしか出てこない)ことになります。 |
スライドレールの種類
スライドレール ローラータイプ
スチールで出来たスライドレールです。リーズナブルな価格が魅力。シンプルな構造で初心者にも使いやすいです。
引き出しの底に取り付けるタイプです。キャビネット側と引き出し側は別々で取り付けます。
引き出し側の奥にローラーが一個。キャビネット側の手前にローラーが一個あるので、引き出しをはめるときはローラーとローラーを越えるようにしてセットします。このため、引き出し本体と、キャビネットの開口に指定の高さの隙間が無いとはめることが出来ません。
スライドレール ミニベアリングタイプ
前後、どちらにでも動く、ミニベアリングタイプのスライドレールです。引き出しの側面に取り付けるタイプになります。一体型なので、レール本体をまずキャビネットに取り付けてから、レールを引き出した状態で、引き出し側に取り付けます。
スライドレール ベアリングタイプ
引き出しが全て出てくる、フルエクステンションタイプのスライドレールです。
引き出しの側面に取り付けるタイプになります。ベアリングを使っているので、動きはかなりスムーズ。耐荷重性も高いです。キャビネット側と引き出し側は別々で取り付けます。脱着するには脱着スイッチをスライドさせた状態で引き抜きます。
スライドレールを使った設計のポイント
引き出しと側板はスライドレールの仕様に合わせて、大きさを決定する必要があります。
また、レールが見えないように引き出しの前板を本体幅よりも広くするか、化粧板をつける必要があります。
吊り桟(つりさん)に引き出しをはめる
スキルレベル5【☆☆☆☆☆】
側板に細い角材を取り付け、引き出し側にはその角材が入る程の溝をほる方法です。側板に取り付ける細い角材のことを吊り桟(つりさん・つりざん)と呼びます。溝をまっすぐに掘る技術が必要ですが、煽り(上下のぶれ)などが発生しにくい構造となります。
溝を掘る技術があれば、シンプルな構造にすることが出来ますし、角材があれば出来るので、安上がりです。溝の深さなど、引き出し自体の強度が落ちないよう気を付けましょう。市販のスライドレールほどのスムーズさはありません。溝を掘る代わりに、吊り桟を挟む形で引き出し本体側に角材をつけるという方法も考えられます。
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スライドレールが安心!確実!【まとめ】
引き出しの収納方法を紹介しました。
いろいろな方法はありますが、市販のスライドレールを利用すると動きもスムーズで安定しています。ストッパー機能もついているので、引き出しすぎて脱落するということもありません。
とはいえ、その他の方法も小引き出し、やデザイン的に金物を使いたく無い場合など、適材適所で利用出来ると思います。
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