縁 (ふち)が変わると作品が変わる
電動工具3つ目はトリマーです。トリマーとは高速で回転するビットにより、木材を削る電動工具です。ビットには様々な形状があり、ビットを付け替えることでいろいろな加工が出来ます。主にテーブルの天板や額縁の縁に飾りを施すような場合に使用します。 縁取りに様々な飾りをつけることが出来て、一気にプロっぽい作品に仕上がります。丸のこに次いで欲しい工具のひとつですね。
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トリマー大図解!
メインスイッチ
動作のON/OFFを切り替えるスイッチです。「|」がONで「○」がOFFです。
電源プラグを入れるときには必ず「○」が押された状態であること。
ベースカバー
ベースプレートと本体をつなぐカバーです。
このカバーを上下させて、固定することで切削深さの調整を行います。
ビット
このビットが高速回転し、木材を切削します。いろいろな形状、用途があります。
ベースプレート
このベースを木材に押し当てながら切削を行います。浮き上がらないように注意。
この部分が透明樹脂で出来たモノもあります。透明樹脂の良いところは切削場所が見やすいことですね。
ベースカバー固定レバー
切削深さを調整した後に、このレバーを締めることで、深さを固定します。
レバーではなく、ネジ式のものもあります。
本体(モーターユニット)
モーターユニットが格納されている本体です。この部分を握って操作します。
切削深さ調整目盛り
深さを調整する目盛りです。
ゼロ点(ベースプレートとビットの先端が揃っている位置)時の目盛りを覚えておいて、相対値で設定します。
スピンドルロックボタン
スピンドルとは、モータの軸部分(回転部分)のこと。
ビットを付け外しする際に、スピンドルが回転しないようにロックする為のボタンです。
コレットナット
ビットを差し込んで固定する部分。スパナで締めて固定します。
切削深さ微調整ダイアル
写真では見えませんが、このモデルでは切削深さを微調整するためのダイアルがあります。
ビットの交換方法
ビットを交換するには、ベースカバーを取り外して行います。
スピンドルロックボタンを押しながら、コレットナットをスパナなどで反時計回りに回すと緩みます。
ビットを奥まで差し込んで(中途半端な位置だと、作業中に抜けて大変危険)、今度は時計回りにスパナなどで締めます。
ロックボタンの無いモデルの場合は、スピンドルのコレットナットの根元の位置にもう一つスパナを掛ける場所があるので、2本のスパナで締めます(こういったスパナは電動工具に付属しています)。
ビットの深さ調整
各モデル、深さ調整目盛りや、深さ調整ダイアル(つまり)などがありますので、取扱説明書に従って調整を行います。
と、言いつつもこの目盛りやダイアルだけで調整するのは難しいです。ベースの底に目盛り付きのスコヤをあてて調整した方が確実です。
深さが調整出来たら、ずれないように慎重にベースカバーを固定しましょう。固定が出来たら、端材などで試し切削を行い、問題無ければ本番切削に望むのが良いですね。削り足りない場合は、削り直せば良いですが、削りすぎは元に戻せません。
トリマーの使い方
トリマーのビットは上から見ると右回転(時計回り)になります。このためビットの左側で切り進んでいきます。
板の外周を削るときは、反時計回り。板の内周を削る場合は、時計回りにトリマーを動かします。常にトリマーの左側に材料が来るように意識すれば良いですね。反対にするとキックバックが起こる可能性があり、危険です。削り始める前に進行方向が正しいか、十分に確認しましょう。 また、スイッチをONにするときにビットが板に当たらないように注意が必要です。当たった状態でスイッチをONにすると、トリマーが跳ね返って危険です。
トリマーを使った加工の種類
縁取りをする
様々なビットを使用することで、いろいろな縁取りをすることが出来ます。縁取り用のビットは、先端にボールベアリングが付いていて、ベアリングを材料の側面に当てて切削します。(柔らかい材料の場合、あまり強く押しつけると、ベアリングの跡が付くので注意。一度に削ろうとせず、軽く、少しずつ削るとキレイに仕上がると思います。)
ボーズ面ビット
縁を丸く削ります。
ビットを深く出すと切削サンプルの左側のような形状になり、浅くすると右側のような形状になります。
ヒョータン面ビット
2段のRがあるビットです。
華やかな雰囲気の飾りとなります。
面取りビット
正確に45度の面取りを行うことが出来ます。
溝を掘る
溝を掘るのもトリマーの得意とするところ。丸のこでは、幅のある溝を加工するのに、何度も切れ込みを入れなくてはなりませんが、トリマーのストレートビットを使用すると、幅のある溝も一発で加工できます。トリマーをフリーハンドでは操作できません。必ず、平行ガイドや定規などを当てて加工を行います。
ストレートビット
主に溝を掘るために用いられるビット。掘りたい溝の幅に合わせたビットを利用します。
丸溝ビット
底が丸い溝を掘る為のビット。
主に文字彫刻などに使われます。
アリ溝ビット
アリ溝を掘る為のビット。
アリ継ぎ組み手を作成するのに利用されます。
横溝を掘る
板の面の部分に溝を掘る場合、丸のこを使った方法もありますが、木端に対して溝を掘るのは丸のこでは難しいです。 【図解】広い面を作るには?【コストダウン】でも紹介した雇い実矧ぎを作成するには木端に溝を作る必要がありますが、この溝はトリマーで加工することが出来ます。
下のような「横溝ビット」とか「スロットカッター」という名称のビットを取り付けて溝を掘ります。
トリマーを使う際の注意点
トリマーのビットは非常に高速に回転します。このため騒音も大きく、初めて使う方はびびってしまうかも。ビットも露出しており、ひとつ間違うと大けがをしてしまいます。ただ、恐怖心があると上手く操作出来ないので、イヤーマフ(耳栓)などをして、ある程度音を緩和すれば恐怖心が薄れて、作業に集中できると思います。
また、切削の際は削る場所に顔を近づけがち。トリマーの切削では木くずが大量に飛び散りますので、かならず防塵用メガネを着用しましょう。
一度に沢山の量を削ろうとすると、トリマーに負荷が掛かってしまいます。溝を掘る場合など、何度か深さを調整して徐々に削っていくと上手くいくと思います。
トリマー用直線溝切り治具
トリマーで直線の溝掘りを行う際の治具を紹介します。と言っても、丸のこの直線切り治具とほとんど同じです。
注意点はストレートビットの太さ毎に作る必要があることですね。
直線の溝掘りは、使用頻度の高い加工方法です。棚板を側板に大入れ組みする場合や、引き出しの底板をはめる溝を掘ったりする場合もトリマーが利用出来ます。
細いビットで幅の広い溝を掘りたい場合は、掘る溝の墨線を書いておいて、上記治具で墨線に沿って両端に溝を掘った後、中の部分を削り落とすようにすると良いですね。
加工の前にしっかりシミュレーション!
紙の図面や頭の中だけでの設計だと、なかなか加工手順を把握するのも難しいですね。
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トリマーでワンランク上の仕上がり【まとめ】
トリマーについて紹介しました。トリマーにもいろいろな治具(ジグ)があり、縁の飾りや、溝掘りだけではなく、組み手などの加工も出来ます。
万能な電動工具ですが、丸のこ同様、危険な工具でもあります。常に安全を意識して扱いたいですね。
トリマーのジグなどについても、また別の機会に紹介したいと思います。
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