今回は初心者にはちょっと難しいガッツリ木工
今回はちょっと初心者向けの記事ではありませんが、「フォトフレーム」の作成過程を紹介したいと思います。 「フォトフレーム」なんて100円均一にも売っているのでわざわざ作る必要もない気がしますが、手作りすると愛情が沸いてきますよね! 単純な作りですが、きちんと作ろうと思うとそれなりの設備や工程が必要となってきます。 この辺りが初心者向けでない理由ですが、木工機械に慣れる為とか、腕を磨く為にはもってこいの題材です。 フォトフレームならいくつあっても邪魔にならないですからね。
ー目次ー
まずは計画から!
こんな簡単なものに計画がいるのか?っと思われるかもしれませんが、どんな単純なものでも寸法など把握しておかないと材料を切り出すことは出来ません。という訳で、大体の構想を練っていきます。 フォトフレームなので、中に入れる写真のサイズを決めないといけません。 今回は一般的なL判サイズの写真を入れることにします。 L判サイズ:89×127mm 次にフレームの構造は留め継ぎにしたいと思います。
サイズも大きくないし、力が加わる訳でも無いので、今回は接着剤のみで貼り合わせることにします。 フレームの幅はあまり太いと野暮ったくなるので、19×20mm程度。 アクリル板と背板は在庫品を使うことにします。
L判サイズに木材をカットするとこんな感じですね。 留め継ぎにするためには、フレーム幅を考慮する必要があります。

1×4材の厚み側(側面)が向かって正面にくるようにしました。 つまり、フレーム自体の厚みが20㎜で、フレームの各辺の幅が19㎜ですね。 よって127mmの木材が2本、165mmの木材が2本です。
材料を準備
すべて在庫の材料です。

・フレーム作成用 1×4材の端材 ・アクリル板(3mm厚) ・背板用 パーティクル板?(タンスを解体したときに出てきた板です。3mm厚)
最初の工程は木作りから
木作りとは、材料を必要なサイズに切ったり、加工したりすることを指します。 つまり、ノコギリで木材を切ったり、組立前にサンドペーパーやカンナで表面を均したり、切り欠き加工やビス穴をあけるといった工程ですね。 一つの木材から複数のパーツを切り出すことを木取りともいいますね。 caDIY3Dにも木取り図作成機能がありますね。

まず1×4の端材を自作のテーブルソーを使って20㎜の幅で縦挽きします。 いきなり「テーブルソー」というものが出てきましたが、これは丸のこを逆さまにしてテーブルの裏に固定したような木工機械です。 家庭向けの小型テーブルソーも沢山売られているのですが、単純な構造から自作をする方も沢山います。 正確な加工をするためには無くてはならない機械ではありますが、置き場所も必要な為に、手に入れるにはなかなか敷居が高い機械です。 上の写真ではフェンスと呼ばれる部品をテーブルソーに取り付けて、それに押しつけるように沿わせてカットすることで、同じ幅で木材をカットすることが出来ます。

縦挽きして細くカットした木材を設計図に合わせて長さを揃えていきます。 127mmの木材が2本、165mmの木材が2本ですね。 上の写真にあるのは「クロスカットスレッド」と呼ばれるテーブルソー用の治具です。 テーブルソーの上のまっすぐ滑るように作られているので、ぶれること無く安定して木材をカット出来ます。 右上にちょっと写っているのはストッパー代わりの木片です。 同じ材料を2つ以上切り出す場合は、ストッパーをつけて切り出すと効率が良いですね。

続いては45度留め継ぎ加工用の治具です。 単純に45度にカットすれば留め継ぎが上手く出来るか?というとなかなかそうはいきません。 少しでも角度がずれると、隙間が空いてしまいます。 この治具は45度にカットするという目的もありますが、あらかじめ対になる角を決めておいてからカットすることでずれなく加工することが出来ます。

良い感じにカット出来ました。続いて、アクリル板や、背板をはめるための切り欠きを作らないといけませんね。 アクリル板が3mm、背板が3mmなので、ピッタリと収めるには6mmの深さの切り欠きが必要です。

切り欠きもテーブルソーにフェンスを取り付けて加工します。 6mmだけ丸のこの刃を出して、サーッと通すと、6mmの深さの溝が出来ます。 裏からと内側から2回通すことで、6mmの切り欠きが出来ます。
いよいよ組立!っと言っても接着するだけ
留め継ぎの加工が上手く行ったら、ピッタリと4隅がくっつく形になります。 貼り合わせる面に木工ボンドを塗ったら、ベルトクランプで圧着します。

木工ボンドをまんべんなく塗ったら、手早く、ベルトクランプで固定。 ねじれやズレが無いか十分に確認します。

接着が完了したので、アクリル板と背板を現物合わせでカットします。 現物合わせなので、ピッタリと収まりました。 上の写真はすでにアクリル板がはまっていますが、わかりますかね?
フレームは作った。どうやって立てる?
フレームを作成したものの、どうやって立てるかまだ決まっていませんでしたね。 今回は台座を作って、台座の溝にフレームをはめる形で立ててみたいと思います。 ただ単に垂直に立てるのでは面白くないので、少し傾斜した形で立てられるようにします。 傾斜を付けるためには斜めに溝を掘れば良いのですが、その方法をすこし考えてみました。

溝自体は、テーブルソーを使って何度も往復することで作ることが出来ます。 ただ、これだと垂直な溝しか掘れません。 そこで、台座のベースとなる木材にスペーサーとなる端材を取り付け、安定して斜めに材料を固定することを考えました。 ずれると良くないので、ビスで固定。 このビスの跡は後でカットします。

上の写真のようにクロスカットスレッドを使って、何度もテーブルソーの上を通すことで、溝が出来ます。 フレームと現物合わせで、溝の幅を決めていきます。 斜めに溝が入っていることがわかるでしょうか?

1×4材そのままの状態では面白くないので、トリマーを使って前面側をボーズ面に加工しました。 ひょうたんビットの方が面白い形状になったかな…。 台座はフレームの幅に合わせてカットします。 カットすることで、ビス穴の跡や、トリマーの始まりと終わりの部分の乱れを取り除きます。
最後は塗装
せっかく作ったフォトフレーム。未塗装では味気ないので、塗装をしていきます。 ここで失敗したら全て台無しなので、一番得意なレシピで塗装します。 フレームは浮作り加工してミルクペイントで仕上げ。 台座はワトコのダークウォルナットで仕上げます。

まずは浮作り加工です。バーナーでこんがりと焼き上げます。 バーナーで焼くことで柔らかい部分は炭になって、固い年輪の部分が残ります。 炭の部分をワイヤーブラシで落としてあげると、年輪が浮き上がった浮作り加工の完了。 上の写真の様に、かなりこんがりと焼いてあげると良いです。

ワイヤーブラシで炭を落とした状態です。 写真ではわかりにくいですが、年輪がぼこぼこと浮き上がっています。 端の部分も良い感じででこぼこ感が出てきました。

浮作り加工した跡にミルクペイントで白くペイント。 ミルクペイントはすぐに乾くのですが、1度塗りでは下地が透けて見えるので、3回以上重ね塗りすると良いです。 ミルクペイントでの重ね塗りが終わったら、サンドペーパーで表面を軽くこすって年輪部分を見えるようにすると、アンティーク感が出てきます。

土台はワトコの「ダークウォルナット」で塗装です。 こちらは水研ぎといって、完全に乾く前に耐水ペーパーでこすってやると、塗料が浸透して良い仕上がりになるそうです。 塗っては10分放置⇒やすり掛け⇒拭き取り⇒しばらく乾燥を待ってから再び塗ってをこちらも4、5回繰り返します。 なので、結構時間が掛かります。
完成!
額縁などの裏板を留める金具をトンボ金具と呼びます(今回使ったものはプラスチックですが)。 これを2カ所に取り付けて完成です! 土台は、塗っている最中はツヤがありましたが、乾くとマットな感じに仕上がりました。 濡れ感を出したい場合は、ワックスやニスで仕上げると良いですね。 浮作り加工したフレームの塗装は、やすり掛けの加減で、もっと年輪を目立たせることも出来ます。が、削りすぎると下地の木の色が出てきてしまいますので注意が必要です。 縦でも横でも置けるかな?っと狙ってみましたが、横置きの場合、トンボ金具が干渉してできませんでした。 金具の取り付け位置を工夫すれば兼用できるようになると思います。
小物の設計から大物まで!

このアプリを使えば、小物から大物まで簡単に設計できちゃいます! 面倒な切り欠きも難しい角度切りも簡単にシミュレーションできますよ!
誰でも作れるという訳ではありませんが【まとめ】

100均でもカンタンに手に入るフォトフレームという題材でも、自分の手で作るとなると、いろいろと手順があって完成すると達成感もありますね! 作り方の手順については人それぞれあると思いますので、一例として参考にしていただければと思います。 時間を掛けずに正確な加工を!っと突き詰めていくと、どうしても電動工具の力が必要になってきます。 今回、初めて「テーブルソー」という木工機械を紹介しましたが、機能を割り切れば、丸のこを使った自作も可能です。またいつか機会があれば紹介したいと思います。
2件のコメント
Ryo amuro · 2019年9月25日 5:49 AM
クランプの締結圧力測定とは?を探してたどり着きました。趣味で表装(屏風・額縁「額装」・掛軸)。やっと人様に見せられるようになりました。
板接ぎのCLAMPを自作したい、その締結圧力測定、御教示頂けるとありがたいです。よろしく。
この通信はアイパッドからです。
尾見@caDIY3D開発 · 2019年9月25日 7:09 PM
尾見です。
スミマセン、締結圧力測定には知識がありません。板接ぎのクランプは自作されている方も多いですね。長ねじと蝶ナットを使うものがよく見かけますね。強く圧着する為には蝶ナットの部分をいかに強く回せるようにするかがポイントになりますね。