材料加工の必須科目
材料を加工するとなると結構な確率で穴あけ作業があります。「材料切ったら組み立てるだけじゃ無いの?」と思うかもしれませんが、失敗しない作品作りには穴あけ技術は必要です。
今回は加工の基本として穴あけについて。
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穴をあける場面と道具(工具)とは?
穴をあけるといってもシチュエーションは様々です。「装飾」のために穴をあける場合や「接合」のために穴をあける場合。はたまた「軽量化」のために穴をあける場合だってあります。そしてその穴はどんな穴なのか。単純な箱を作るだけだから穴をあける必要なんて無いよ!っという場面でも穴をあける必要が出てくる場合があるかもしれません。
例として穴をあける場面と穴をあける為の道具をいくつかまとめてみました。
穴をあける場面 | 穴を開ける道具 |
---|---|
釘やビスの下穴 | キリ ピンバイス 下穴推(※1) 細めの鉄鋼用ドリル(※1) |
ダボなどを埋める穴 | 木工専用ビット(※1) 鉄鋼用ビット(※1) 皿取錐ビット(※1) |
中くらいの貫通穴(直径3cm程度) 例:電源コードを通す為の穴 | ホールソー(※1) スペードビット(※1) |
中くらいの座堀穴 例:スライド蝶番のカップ穴 | 座堀カッター(※1) フォスナービット(※1) ボアビット(※1) |
大きめな穴(直径5cm以上) | ジグソー 糸のこ盤 ホールソー(※1) 自在錐(※1) |
基本は電動ドライバーで
小さな穴をあける場合はピンバイス、キリなどの手工具がありますが、DIYでの基本は「電動ドライバー+ドリルビット」です。(電動ドライバーの代わりにインパクトドライバーでもよいですが)
ビットとは電動ドライバーやインパクトドライバーの先端に取り付ける鉄鋼で出来た部分を指します。
ネジを締める為のビットは「ドライバービット」、穴をあけるビットは「ドリルビット」などと呼びます。形状や用途によって様々なビットがあり、付け替えて使用します。
中くらいの穴をあける必要が出てくるのは、DIY初心者ではなかなか無いと思うので、ここでは「下穴とダボなどを埋める程度の穴あけ」について書いていこうと思います。
下穴は必須と考えよう!
釘やビスで材料同士を接合する場合、よほど細い釘、ビスで無い限りは「下穴」をあけましょう。
下穴とは釘やビスを打つ箇所にあらかじめ小さな穴をあけることを言います。
木材の側面方向から釘やビスを打つ場合、木材の繊維を割って入るような形になります。このため、木材の端の方にビスなどを打つ場合、木材が割れてしまうことが多々あります。下穴をあけておけば、繊維を押し広げる形になるため、木材が割れるリスクが減ります。
「せっかく、購入した木材が真っ二つ…。」なんて悲劇は味わいたくないですよね!
使用する釘やビスの太さの、一回り小さいドリルビットで下穴をあけましょう。大きすぎる下穴をあけると、接合強度が低くなってしまいます。
木工用で専用に「下穴錐」というものがありますので、大、中、小と揃えておけば万全です。
下穴錐は細長いドリルビットでテーパー形状(根元から先になるほど細い)となっています。テーパー形状の為、深さによって穴あけサイズを調整できます。
下穴錐で無くても、「鉄鋼用ビット」なら各サイズがセットで売られていたりしますので、木工用途であってもこちらで代用が出来ます。1セット入手しておくと何かと便利です。
下穴は木材の割れを防ぐため以外にも、ビスのねじ込みを補助する場合にあけることがあります。
特にウッドデッキなどに使われるハードウッドと呼ばれる堅い木材(サイプレスやイペなど)は、堅くてインパクトドライバーでも途中でビスが回らなくなることがあります。
ウッドデッキなどでは長く太いビス(コーススレッドと呼ばれる75mm程度のビス)を利用することがありますが、 下穴をあけずに打つと、ビスが折れるかビットが折れるなんて事があります。
ダボなどを埋める程度の穴あけ
「ダボ」とは家具などを組み立てる際に、ほぞやネジの代わりに使われる、木製の小さいな棒のことです。
大体8~10mm程度の太さのものが一般的です。長さは2~3cm程度。ほぞ組みの代用として、初心者向けに紹介されることもありますが、結構、難しいです。というのも接合部分の両側の材料にピッタリと同じ位置に、垂直にダボ穴(ダボを挿入するための穴)をあける必要があるからです。
ダボ穴の位置を揃える為には「ダボマーカー」というものがあります。これは片方の材料に穴をあけた後に、その穴にマーカーをセットして、反対側の材料を押しつけることで、穴の位置を写し取るツールです。これを使えば位置を揃えることが出来ます。
上の商品はダボとダボマーカー、さらにダボ用の穴をあけるダボ錐のセットですね。ダボだけでも売っているので、最初に1セット入手すれば、使い回せます。
ダボマーカーを使えば位置合わせは簡単にできますが、難しいのは垂直に穴をあけるということ。少しでも曲がってしまうと、穴の位置があっていても上手くはまりません。
垂直に穴をあけるための工具、ツールなどの補助がない場合は、ダボでの接合は避けた方が無難です。
垂直に穴をあけるための工具
垂直な穴をあけるためには、手軽なモノなら「ドリルガイド」というものがあります。
穴あけ位置にセットして、金属製のガイドの中にドリルビットを差し込んで使います。ベースが透明なプラスチックで出来ているの、位置の確認がしやすくなっています。これも位置決めしたらベースをクランプなどで固定しておくと穴あけ途中にずれる心配が無いですね。
手持ちの電動ドライバーを利用した「垂直ドリルスタンド」。ただし、手持ちの電動ドライバーがセットできるか確認してから購入しないと、上手くセット出来ない場合もあります。
一番良いのは「卓上ボール盤」。これは、これから木工をずっと続けたいと思っているなら、是非とも入手、または利用する環境を作って欲しい設備です。
DIY工房やホームセンターの工作室に設置されている所もあると思いますので、利用するのも手です。
いろんな用途で使えます。筆者が入手した電動工具の中でも一番の稼働率です。(個人で所有するには置き場所が悩ましいですが)
こちらの記事でボール盤について紹介しています!
ダボは材料同士の接合だけではない!
ダボは、材料と材料を繋ぐ目的以外にも、「可動式の棚板を支える」、「ビスの頭を隠す」などの場面でも利用されます。
埋め木処理で、ビス頭を隠す
木で家具などを作った場合、ほぞ組みなどの高度な技術があれば良いのですが、初心者のうちは釘やビスでの組み立てになると思います。
「デザイン性などを考えると、ビスの頭が見えるとちょっとかっこ悪い…。」という場合に、埋め木処理を施すとワンランク上の作品に仕上がります。
埋め木とは隙間や割れに木片を埋めて栓をすることを言いますが、DIYでの埋め木はビスの頭に蓋をするような処理になります。
やり方は簡単。ビスを打つ場所にあらかじめビスの頭より一回り大きい穴を5~10mm程度の深さであけておきます。深さは板の厚みを考慮して、深すぎない程度にします(あまり深くあけると強度が低くなります)。
ここに穴の深さまでビスを打ちます。
ビスを打ったら、木工用ボンドを少し垂らして、木ダボ(または丸棒)をダボ穴の中に打ち込みます。
あとははみ出たダボをカットします。ここで使用するのはアサリのついていないノコギリ。
「アサリ」というのは、効率良く木材をカットするためにノコギリの刃についている角度のことです。
アサリ付き(通常の)ノコギリを使うと、材料に傷がついてしまいます。作品の完成度が落ちて後悔しないためにもここはしっかりとアサリ無しノコギリを使うようにしましょう。
カットすると、ビスの頭が隠れます。塗装すればかなり目立たなくなります。
ビスでの組み立ての場合、埋め木処理用の穴をあける場合でも、さほど垂直に神経を使わなくても出来映えは変わりません。
見栄えもワンランクアップするのでお奨めです。
下穴と埋め木用の穴を一発であける皿取り錐というビットもあります。一つ用意しておけば作業効率がグンとアップします。
貫通する穴をあける場合は捨て板を
ボルトを通す穴をあけるなど、板を貫通する穴をあけたい場合には「捨て板」を使いましょう。
捨て板とは板の端材などを穴をあける箇所の裏側にあてて、一緒に穴をあけてしまう板のことです。その名の通り作品に直接使わず、捨ててしまう板のことですが、捨て板を置いて一緒に穴をあけないと貫通時に穴の周辺の板が割れてしまいます。
捨て板無しで、貫通穴をあけると、上の写真のように、貫通時に穴の周囲が割れてささくれてしまいます。
貫通穴をあける場合は、穴の下に端材などの捨て板を敷きます。
捨て板にも穴があいてしまいますが、作品に使う材料側は、割れが発生しません。捨て板と材料が密着していればいるほど、貫通側の穴もキレイに仕上がります。
穴あけは一度きり!開けるのに失敗しないためには
一度あけた穴を元通りするのは困難です。小さい穴ならダボやパテで塞ぐことができるかもしれませんが、大きい穴となると相当工夫しないと埋まりませんし、埋めたとしても模様や強度も変わってきます。
「せっかく作品を作るんだったら完璧にしたい!」なんて誰もが思うことでしょう。そんなときはミスしないように事前に計画を立てて正確な計算をする必要があります。が、設計ってどうしても大雑把になってしまうんですよね…
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組み立て前の下準備としての穴あけ加工【まとめ】
今回は穴をあける加工について紹介しました。
どちらかというと、組み立て前の下準備としての穴あけについて書いてきましたが、このひと手間が作品の完成度、失敗しない作品作りに大きく関わってきます。
下穴や埋め木用の穴をわざわざ設計図に反映することはありませんが、初心者のうちは釘やビスでの組み立てが中心。組み立てのテクニックとして、下穴や埋め木処理などは知っておいて損はありません。
今回紹介したテクニックを駆使して、ワンランク上の作品作りを目指しましょう!
2件のコメント
直人 · 2023年3月4日 3:27 AM
初めて知る道具や技術、参考になりました。
ありがとうございました。
香織 · 2023年2月12日 10:31 AM
技術を予習がわりに使わせていただきました。