扉も収納家具では重要な要素
収納家具などをDIYする上で、重要なアイテムの一つに扉があります。例えばカラーボックスに扉をつけるだけでも、がらっと雰囲気が変わりますよね。扉一つにしても、家具の扉、部屋の仕切りとしての扉など、様々な種類があります。扉には開き戸と引き戸がありますが、今回は開き戸の取り付け方法について紹介しようと思います。
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蝶番で取り付ける
扉を取り付ける方法として、真っ先に思いつくのが蝶番を使った取り付けですね。一言で蝶番といっても様々な種類があります。
表側(外側)から固定する
表側から蝶番を使って扉を固定する方法です。蝶番が見える形になりますので、蝶番そのもののデザインにも拘りたいところ。表側から取り付けるので取り付け自体は簡単な部類になります。
蝶番の取り付け位置を変えることで、いろいろなパターンがあります。
スタンダードな横開きの扉。
片開きと両開きがあります。側面の木端と扉に正面から蝶番を取り付ける場合は、扉がキャビネットに収まる形になります。
上記の例では正面に蝶番が見える形ですが、場合によっては側面に蝶番を取り付けることもあります。この場合はキャビネットの横に扉の厚さ分の余裕が無いと扉が開かなくなります。扉の大きさもキャビネット枠の大きさに作成します。
扉の上部に蝶番を取り付けたものを「パタパタ扉」と呼びます。DIYでもカラーボックスや空き箱などに扉をつける場合によく見かけます。塗装の仕方によっては格好よく見せることが出来ると思います。
裏側(内側)から固定する
裏側(内側)から蝶番を取り付けるとは、扉を閉じた状態では蝶番の回転部分しか見えないような取り付け方になります。
室内ドアや窓によく見られる取り付け方です。これはビス留め部分が表に出ると防犯上問題があるためで(ドライバーがあれば外せてしまう)、閉じた状態では外すことが出来ません。
裏側から蝶番を取り付ける場合、扉を開いた状態にして取り付けます。
そのまま裏側から蝶番を取り付けてしまうと蝶番のビス留め部分の厚み分、柱と扉の間に隙間が発生します。
蝶番を取り付ける部分を座堀りすると隙間が少なくなって見た目がよくなります。
ちなみに座堀りを行わなくても隙間が少ない蝶番もあります。その名も「フラッシュ蝶番」。
ネジ止め部が重なるように出来ているので、隙間は1枚分の厚みのみとなり座堀りの必要がなく便利です。
裏側に蝶番を取り付ける場合、扉を開いた状態で取り付ける必要があるので二人で作業すると楽です。(開いた状態で扉を保持しないといけないので)。一人が扉を支えて、もう一人が取り付けを行います。
スライド蝶番で取り付ける
扉の内側とキャビネット側にそれぞれ金具を取り付け、後から合体するのが「スライド蝶番」です。多少のズレであれば調節する機構があるのでリカバリしやすいです。蝶番自体は扉を閉じた状態では見えませんので、モダンなデザインにしたい場合は重宝します。
スライド蝶番は扉の取り付け方によっていくつか種類があります。
全かぶせ
特徴は側板に扉を被せて、側板が見えないようになります。
半かぶせ
側板の半分程度に扉が掛かる蝶番です。側板を挟んで両側に扉をつける場合などに利用されます。
インセット
扉を側板の内側に取り付けます。
設計のポイントとしては扉側の金具はカップと呼ばれる部分にアームが収まるような作りになっており、指定の直径の穴を座堀りしてカップを扉に収めなければなりません。扉板の厚みが薄い場合はカップの座堀りが出来ないのでスライド蝶番は利用出来ません。
また、框組みで作った扉の場合、框の幅と座堀の直径、扉の端から距離などを考慮して、框に座堀が出来るか確認する必要があります。
框組みで作った扉についてはこちらをご覧ください
座堀りを行う為にはフォスナービット(またはボアビットともいう)というビットを使用します。
全かぶせのスライド蝶番を取り付けるとこのような形になります。右側の金具にへこみ(カップ)があるのが判りますね。穴の位置や大きさはスライド蝶番に付属する「穴加工図」を参考にして下さい。
「穴加工図」が無い場合(交換用として売っている物の中には加工図が無い場合も…)は、穴の縁が扉の縁から5mm程度離れる位置に座堀りすると良いでしょう。金具のメーカーのサイトに穴加工図は載っていることもあるので、メーカーサイトで確認するのも良いですね。
扉を閉じるとカップの中にアームが収まる形になります。
自由蝶番でウエスタンドア
少し変わった蝶番で、自由蝶番という蝶番があります。これはウエスタンドア(扉が両方向に開く)を取り付けるために使用されます。
自由蝶番で取り付けられる扉の厚さは、二つの回転部分の間の幅よりも小さくないといけません。幅が広い場合は、扉に角材などを取り付けて、幅を調整する必要があります。
二つの回転部がある為に、奥にも手前にも扉が可動します。
回転部分にはバネが仕込まれており、扉を押していない時は、蝶番が閉じるようになっています(扉と枠が直線になる)。
耐荷重が決まっているので、扉の重さに注意する必要があります。
蝶番取り付けのポイント
蝶番には通常、3~4つのビス穴があいています。全てのビス穴にビス打って、確実に固定しないといけません。
ビス穴の位置にはあらかじめ下穴をあけておきましょう。
下穴をあける際には、両面テープで蝶番を取り付け位置に仮止めしておくと作業しやすいです。
下穴は、蝶番にあいている穴の中心に正確にあける必要があります。下穴がずれると、蝶番の位置がずれたり、ビスが入らなかったりします。
中心に下穴をあけるのは意外と難しく、初心者のうちは下穴が中心から外れてしまいがち。と言うのも、特に蝶番を取り付ける先が木材の場合、年輪があるのでビットが柔らかい方へ流れてしまうのです。
慎重に中心位置を求めて、慎重に穴をあけようとしてもなかなか上手くいきません。
そこで、こんな便利なビットもあります。
このビットの先端を蝶番のビス穴に押しつけると、中から下穴をあけるためのドリルビットで出てきて、正確に中心に下穴をあけることが出来ます。
1000円ちょっとの追加投資が必要になりますが、失敗すれば、なかなか修正が難しい蝶番取り付け。何度でも使えるので、欲しいビットの一つです。
扉の干渉も3Dなら確認しやすい!
紙の図面や頭の中だけでの設計だと、なかなか扉の干渉を把握するのは難しい…。
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設計時には考慮しておきたい扉の取り付け方【まとめ】
扉の取り付け方について紹介しました。
扉の取り付け一つをとってもいろいろな方法がありますので、設計段階で十分に検討しましょう。
右に開くのか、左に開くのか、それとも下から、上からなのか。デザインはどうするか。開いたときに干渉はないか。
使用するシチュエーション、使い勝手を十分に検討して、作成に入りたいですね!
2件のコメント
Takayan · 2022年9月13日 9:03 PM
洗面台の上部に扉付の収納ボックスを付けようと思っています。扉の蝶番にスライド蝶番を付けようと思っていたところなので、この記事が非常に参考になりました。
もし可能であればこのスライド蝶番をパーツ化していただけるとありがたいなと思っています。
是非ご検討をお願いいたします。
石田 · 2021年12月2日 10:48 AM
素晴らしい。DIY歴5年の私には、とてもありがたい。