基本的な構造を理解しよう!
何気なく見ている椅子や棚にも一つ一つの部材に名前が付いていたり、組み方が存在します。
オリジナルの家具を設計するにしても、基本的な構造を知っておいて損はありません。基本が判れば あとは組み合わせやアレンジで設計出来るようになると思います。
今回は基本的な家具の構造について紹介します。
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今回の記事についての注意
今回紹介する構造図には接合方法(ビスで組むのか、組み手で組むのかなど)は考慮されていません。また、サイズなども適当ですので、実際の設計の際には、サイズなども十分に検討しないといけません。
部材の配置と名称を中心に紹介しています。後半には切り欠きや溝加工が必要なものも出てきますが、自分のスキルに合わせて、組み方は考えて下さい。
棚の構造
棚の組み立て完成図
まずは棚の組み立て完成図です。側板と呼ばれる側面の板で、棚板を挟み込む形になります。一番下の棚板は「底板」と呼びます。
スパイスラックや小物収納棚なども基本的には同じ構造です。
棚の分解図
背板があると横方向からの力に強くなります。背板を取り付けるには、側板に溝を切って上からはめ込むか、後ろからベタッと貼り付けてビスや釘で留める(ベタ打ちと呼びます)かします。見た目は溝にはめる方がキレイですが、溝を切るテクニックが必要です。
下部にある幕板は無くてもよいですが、あるとグッと家具っぽい雰囲気になると思います。
棚板の固定方法についてまとめた記事はこちら
テーブルの構造
テーブル組み立て完成図
続いてテーブルの構造です。甲板(天板)の下に脚と脚を繋ぐ幕板と呼ばれる板がついています。短辺方向の幕板を妻手(つまで)側の幕板、長辺方向の幕板を長手(ながて)側の幕板と呼びます。
脚のある家具は作るのが難しい部類に入りますね。
テーブル分解図
甲板を取り除くと内部の様子がわかります。補強用に幕板のつなぎが入っていることがわかりますね。脚の付け根、4隅に隅木(すみき)という部材が入っています。これは筋交いのように強度を上げる役割があります。本格的にテーブルを作る場合、甲板は駒留(こまどめ)という部材で固定します。初心者のうちは、L字金具などで脚部分と接合すれば良いと思います。
この構造を踏まえてカフェテーブルを設計してみました!記事はこちら
椅子の構造
椅子組み立て完成図
椅子は木工の基本技術が詰まっています。無骨なデザインであっても、多くのパーツで構成されています。また、椅子を作る技術はあらゆる作品に応用が利く構成となっています。
テーブルよりも難易度が高いかもしれませんね。正確に作らないと脚がガタついたりします。キッズチェアなど、軽く小さい椅子であれば、構造をもっとシンプルにすることが出来ます。
椅子分解図
人が座るので、強度は十分に確保したいところ。基本的なところはテーブルの構造とよく似ていますが、脚の下部に貫(ぬき)と呼ばれる補強材が入っています。
引き出しの構造
引き出し組み立て完成図
引き出しの構造です。抽斗とも書きますね(難読漢字ですね。私は最初読めませんでした)。基本は箱ですが、見栄えを良くするために化粧板を前面に取り付けています。引き出しの奥側の板を先板(さきいた)と呼び、前面側の板を前板(まえいた)と呼びます。引き出し枠に合わせて底板はべた打ちとしています。
引き出し分解図
前板を側板の木口に被せる形にするのであれば、化粧板は必要ありませんが若干加工テクニックが必要です。溝を切るテクニックがあれば、側板、前板、先板に溝を切って、底板をはめると見栄えが良いです。ただ、引き出しは常に見えるところでは無いので、割り切って加工が簡単な方法でも良いと思います。
引き出しをはめる側はいろいろな方法がありますので、次回以降に紹介したいと思います。
引き出しの基本は箱形状。引き出しの構造をまとめた記事はこちら
引き出しを本体に取り付ける方法をまとめた記事はこちら
額縁の構造
額縁組み立て完成図
額縁です。シンプルですが、加工の難易度は少し上がります。桟(さん)と呼ばれる枠材を45度でつなぎ合わせています。この45度のつなぎ合わせのことを「留め継ぎ(とめつぎ)」と呼びます。軽いモノであれば、接着剤だけで固定することも考えらますが、何かしら補強を入れた方が安心ですね。ここでは「かんざし」と呼ばれる薄い板をはめて補強する構造を紹介します。
額縁分解図
裏板は、溝を切って、はめ込む構造としています。このように取り外せない状態にしてしまうことを「はめ殺し」と呼びます。写真立てのような額縁を作る場合は、裏板が取り外せないといけないので、溝ではなく切り欠き(L字型に削る)を作って、そこに裏板をはめ、トンボ金具という金具で押さえることになります。
「かんざし」は分解図にあるように最初は長方形の薄板を差し込んで、接着できたら余分な部分を切り落とします。四隅の補強にはいろいろな方法がありますので、また、こんど紹介したいと思います。
留め継ぎによる枠の作り方は、キャビネットの扉などの作成にも応用できます。
キャビネットの扉の構造
キャビネットの扉組み立て完成図
キャビネットなどに用いられる扉です。ぱっと見た感じはすごくシンプルですが、構造は以外と複雑。加工の難易度も若干高めですが、切り欠き加工が出来るのであれば大丈夫です。(まだ、切り欠き加工について紹介はしていませんが…。)
新しい言葉として、框(かまち)が出てきました。框は戸や障子の枠のことを指します。
切り欠き加工には電動工具が必須。丸のこかトリマーを使います。
キャビネット扉分解図
キャビネット扉の分解図です。裏側からみたところですが、ごちゃごちゃして判りづらいので、順を追って説明したいと思います。
縦框(たてかまち)には鏡板がはまる切り欠きが施してあります。横框(よこかまち)には、縦框の切り欠きにはまるように切り欠きと、縦框同様に鏡板がはまる切り欠きを行います。
框部分を組み立てたら、鏡板をはめます。この時点で鏡板は切り欠きにはめただけなので、前からつついたら外れてしまいます。
鏡板が外れないように押し縁と呼ばれる細長い角材で鏡板を押さえます。
扉の取り付け方法にもいろいろあります!まとめた記事はこちら
さらに基本構造を理解するためには
ここまでで家具の組立図を説明しましたが、意外にシンプルな物でも分解してみると複雑な構造だったりします。実際に手に取って物の構造を確認するのが構造理解の一番の近道です。手元に物が無い場合はインターネットや雑誌の写真を見るしかないのですが、写真や絵では決まった角度からしか見れないのでいまいちわかりにくいですよね。
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身の周りの家具が一番の参考書【まとめ】
基本的な家具の構造を紹介しましたが、まだまだ沢山の構造があります。ここでは全て紹介しきれませんが、身の周りにある家具をよく観察してみると、設計の参考になると思います。
基本が判れば、あとは応用するだけ。オリジナルの家具を早速設計してみましょう!
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